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オムニチャネル時代のデジタルマーケティングの落とし穴とは?

公開日: : 最終更新日:2017/08/26 オムニチャネル


marketing

期待と現状のギャップ。

小売事業者だけでなく、物販に関わるあらゆる企業がオムニチャネルに注目し、何らかの取り組みを始めています。特に、大手企業はその分野への投資を行い、全社の全チャネルを統合したデジタルマーケティングに着手し始めていますが、そう簡単には成果が出ていないと聞きます。

今後、私自身も着手する分野なので、着手する前の整理を踏まえて、今回はオムニチャネル時代のデジタルマーケティングの落とし穴について考えたいと思います。

 

オムニチャネル時代のデジタルマーケティング

marketers

一般的にデジタルマーケティングはすぐに大きな成果がでるものばかりではないと捉えています。それは、ソーシャルメディア、広告、DMP、アトリビューション、データ活用、マーケティングオートメーションなど全てにおいてです。やってないことをやればすぐに成果はでやすいですが、例えばユーザーのアクションに応じてデータに属性を追加していくことで精度を高めていく、それと併行して施策の知見を貯めながらブラッシュアップしていくようなことは、企業として中長期的に人もノウハウも育てていく必要があるものなのでは?と感じています。

一方、ECのマーケティングについてはどうでしょうか。自社ECの中でのマーケティングは、ユーザー属性に関してはわざわざ自社ECに買いに来てもらっている時点である程度セグメントされていて、会員登録時にある程度の情報が追加できたり、そのユーザー情報に購入履歴が必ず紐づけされるのが前提です。基本的には、ECサイトの成長と共に費用対効果のバランスを見ながら、販促施策やマーケティング施策をブラッシュアップしていけるので、地に足がついた環境にあります。

現在は「いわゆるオムニチャネル」がトレンドになり、自社ECと実店舗で購買体験や顧客データを連携していく動きが活発になってきていますが、このオムニチャネル時代におけるマーケティング活動で課題が浮き上がってきているようです。

 

EC部門が全社のマーケティングに取り組むことが落とし穴!?

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そこで店舗の顧客情報・購買情報を使ってマーケティングせよという話が挙がり、プラットフォームを構築し、マーケティング施策を実施しているもののなかなか成果がでないという壁にぶち当たっている企業が増えていると聞いています。私もその1人ですし、アパレル業界ではそういう企業が多いように思えます。それはなぜでしょうか?

よくよく考えてみれば当たり前なのではと思ってきた。アパレルの場合、マーケティング部門を古くから設置しているという企業はほぼ皆無なので、ほとんどの場合、ECの部門がオムニチャネルの推進と、それによるデータを活用した全社のマーケティングを担い始めています。しかし、自社ECが強化され、売上高が数十億円や100億円のサイトにまで成長させたアパレル企業でも、全社の売上シェア(自社EC化率)で見ると5〜6%、稀に10%だ。単純に考えて、5〜6%のデータしか触ったことない人が、いきなりそれ以外の94〜95%の属性が曖昧なデータを手にしても持て余すほうが普通ではないでしょうか。すぐに大きな成果は出すのは難しいことが想像できます。

その観点では、直営の小売を持たないメーカーや、通販主体の企業のほうがうまくいきやすいのではないでしょうか。

メーカーは小売企業のような購買データを持ってはいなくても、長年データを蓄積と施策の実行・検証を続け、大規模なデータを取り扱ってきました。だから、自社ECや直営店舗など販売チャネルを作り始めて、有用なデータが少しずつ溜まる分には対応がしやすい。代表例は、飲料系や化粧品です。あくまでも、デジタルマーケティングに5〜10年から着手していることが前提です。

また、通販主体の企業もそれに近いです。カタログやWEBを通じて販売し、それによって蓄積してきたデータを活用してマーケティングを行い、結果として大規模なデータ活用ができています。だから、直営店舗の出店があっても、さらに有用なデータが少しずつ溜まる分には対応がしやすいし、リアルな店舗での実験ができる分、マーケティング担当としては面白みも多い。こちらも、紙の依存を減らし、5〜10年からWEBシフトに着手していることが前提となります。

 

EC部門主体のマーケティングを実施する上でのポイント

開発

EC部門がオムニチャネルを推進しながら、全社のマーケティングに取り組む一方、なかなか成果が出ない状況が続いています。では、ECから全社のマーケティングで成果を出すことをあきらめるのか?これから取り組んでいく私としてはもちろんあきらめないし、焦ってもいけないと感じています。

これは、事業会社側でこれまで経験を積んできた中での考え方ですが、「大きなデータというのは小さなデータの集合体」だと捉えています。必ず何かヒントが隠されていて、グループを見つけて施策を試すを高速的に実行していくことで、活路が見出せるのではと私なりの仮説を持っています。アドテック東京2015でKaizen Platform, Inc. 須藤 憲司CEOも「そのDataによって、Actionの回数がふえますか?スピードがあがりますか?」とおっしゃっていたように、アクションから逆算をしてデータを活用する。全体最適ではなく、部分最適×nで成果を出していくほうが、最終的に結果がでやすいのではと考えています。

あとは、すでに大規模なデータを扱ってマーケティングをされている諸先輩方に相談をしながら、俯瞰的な視野を養っていくしかないです。

 

最後に、デジタルマーケティングとECも別物だと捉えています。そのため、デジタルマーケティング出身の担当者が、「ECに着手せよ」という会社の指示を受けてECをやっても簡単に成功しづらいというのも1つの落とし穴です。

 

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川添 隆

川添 隆

デジタル・コマースグループ ジェネラルマネジャー株式会社メガネスーパー
NewsPicksプロピッカー、デジタルハリウッドオンライン講師、文化服装学院 非常勤講師、日経デジタルマーケティング連載、ECzine連載、LINE大使(自称) ||| メガネスーパーのEC事業、オムニチャネル推進、デジタルマーケティング・コミュニケーション、デジタルを活用した店舗支援を統括し、他社のEC・オムニチャネルのコンサルティングにも従事。これまではファッション・アパレルに従事し、現職含め2社にわたりEC事業の売上を短期間で約2~3倍にしてきました。 ≫ プロフィール詳細・お問い合わせはコチラ

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