大型ECパッケージの違いって何?:ECカートシステムの選び方【4】
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最終更新日:2017/08/26
ECノウハウ・実例
金額以外に何が違うのか?
前回は、パッケージシステムのメリット・デメリットを比較しました。今回は、大型のパッケージシステムのメリット・デメリット、特に前回のパッケージシステムとの違いをEC担当者目線で比較いたします。
大型パッケージシステムの比較
各ECシステムのメリット・デメリット
この比較はこれまで私が見聞きしたことや、実際に経験したことを基にして作成をした主観的なメリット・デメリットの比較です。今回は大型パッケージシステムについてご紹介します。大型パッケージシステムとは、特に一般的な用語ではありませんが、特に初期構築費用が上記のパッケージシステムよりも高額になることから、すみ分けをするためにここでは使わせていただきます。初期費用は経営判断での投資金額のレベルになってきます。慎重に吟味ください。
大型パッケージシステム
これを選択するならこんな企業がオススメです。
・ECサイトの規模としては、年商 10億円以上を想定
・しっかりと期間や費用をかけ、既存のEC事業やオペレーションに合わせて1つ1つの機能をカスタマズで初期構築したい
・特殊な事業モデルに対応したい(リユースなど)
・継続的に改修をいれてEC事業を拡大したい(拡張性)
・外部システムとの連携をしたい(基幹システムやPOS、WMS、マーケティングオートメーションツールなど)
メリットとデメリットは以下です。
■メリット
・既存の社内の運用フローに則した機能やバックオフィス(管理画面)の構築が可能
・ベンダーのサポートが手厚い
・パッケージはその開発会社のオリジナルなのでセキュリティが強い
・分析の項目や機能、データベースの項目が全般的に網羅されている
・集中的なアクセスなどに対するパフォーマンスが安定
■デメリット
・構築・月額費用高い
・ECの標準的な機能がないため、事例に合わせてその都度開発が必要
大型パッケージシステムの代表例としては、コメ兵、アダストリアのようなEC先進企業の事例を持つCommerce21(コマース21)、モール型ECサイト構築に定評があるSI Web Shopping(SIウェブショッピング)、ノンカスタマイズで基本機能をバージョンアップさせていくCOMPANY EC(カンパニーEC)などがあります。私自身は、使用経験がないため、各社の「お客様の声」をまずは参考にしてみてください。
<参考>お客様の声 | コマース21
<参考>EC構築事例インタビュー|SI Web Shopping
気になるのはパッケージシステムとの違いですよね。私自身はパッケージシステムを使いまくってきたので、その目線で違いをお話しします。
基本的には、データベースやECの販売機能などのモジュールのような骨子はあるものの、ECの機能1つ1つをクライアントの企業ごとに開発する点です。その点で見ると、パッケージとスクラッチの間のようなイメージです。そのため、開発にかかる工数が必要なため、費用も高額になるということです。ただし、上記の代表例では、COMPANY ECは設計思想が異なり、個社ごとのカスタマイズはせずに、製品としてバージョンアップをしていきます。
また、パッケージシステムと同様なのは、初期だけでなく「継続的な運用」が肝になるため、システムの拡張性だけでなく、「同じ船に乗ってECの成長を目指していけるパートナーになりえるか?」という相性が重要です。パッケージシステムよりも、よりクライアント側の企業特性に合わせて開発をするので、クライアント側のビジネスの流れやECのオペレーションなどの深い理解が必要になります。ベンダー側の企業のスタンスが、自社のビジネスのスタンスと合っているかという視点は必須と言えます。
次回は、中小規模でも採用の可能性がありながらも、一般的には数十億以上のレベルの大規模ECサイトで採用されるスクラッチのメリット・デメリットと全体のまとめをご紹介します。
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