アドテック東京2015レポート:デジタルマーケティングの本質的キーワードが続出!【1】
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最終更新日:2017/08/26
EC・ビジネスメソッド
初参加・初登壇のレポート
今回、「アドテック東京2015」の公式スピーカーとして参加させていただきました。私自身、アドテックのイベントに行ったことがなかったので、非常に貴重な経験になりました。2日間聴講者として参加すると¥146,880という比較的高価です。
今回行けなかった方、アドテックってどんなことやってるの?と思われている方々のために、私が聴講した各セッションで私自身が印象に残った本質的なキーワードをご紹介します。各セッションの紹介記事などは、他のメディアでも掲載されていますのでそちらをご覧下さい(笑)。
アドテック東京2015(ad:tech tokyo)の注目キーワード
昨今のデジタルマーケティングのトレンドを踏まえ、私が今回のアドテック東京では「自社のユーザーの嗜好や行動に合わせた」が共通のキーワードだと捉えています。これまで以上に自社のユーザーの変化を瞬間的にとらえるようなイメージ。Googleが提唱するマイクロモーメントの考え方はその代表と言えます。それを前提として、データやアドテク、WEB広告の活用、CRMやオムニチャネル、WEBコミュニケーションの展開などがあるというような構図です。
<参考>マーケターなら知っておくべき「マイクロ・モーメント」とは?消費者の”欲しい”の瞬間に動画で応える! | movieTIMES
各セッションは、テーマに沿って概念や施策の話があるものの、最終的には必ず本質的な部分が落としどころになります。そこに金言とも言うべき、本質的なキーワードがあったので、私なりの解釈も含めてご紹介します。※微妙な言い回しが異なる場合は容赦ください。
なにか新しいことない?クリエイティブでマルチチャネル時代を乗り越える
日本を代表するプロデューサーがマルチチャネル時代に対応するコンテンツとは?クリエイティブとは?ということを議論されたセッション。パネラーの共通点は「人のツボを押すのがうまい」とのこと。そんな中3つのキーワードがありました。
「ばかばかしさは大事」T.M.Revolution 西川 貴教さん
わかってはいるけど、実際に取り入れるのは非常に難しいことです。特にWEBのコミュニケーションでは大事だが、一方企業での活動としてばかばかしさを取り入れるのはリスクにもなりかねない。そのギリギリラインをコンテンツやクリエイティブとして提案するというのが、まさにプロデューサーの腕の見せ所なんでしょうね。改めて考えさせられるキーワードです。
「おもしろいものはどのメディアでも面白い」株式会社電通 篠原 誠さん
「メディアによってコンテンツは変える必要ある?」という問いに対してのキッパリと回答。auの三太郎など数々の話題のCMなどを手掛けていらっしゃる篠原さんですが、WEB用のCMやコンテンツのプロデュースも増えてきているとのこと。デバイスや配信方法はテクノロジーで劇的に変わったが、コンテンツや企画制作の匠の部分は今も昔も変わってないと。
WEBプロモーションでは「メディアごとにコンテンツは変えるべき」という説もありますが、確かに本当に面白いものや、感動するネタ・コンテンツは何で見ようがおもしろい。ついつい方法論を考えがちですが、メディアに頼らず、ネタの柱をしっかり考えて作り込むことが肝だということを忘れてはいかん!というキーワードですね。
「世のため人のためだと手が届かないほうが多い」T.M.Revolution 西川 貴教さん
これはデジタルマーケティングというより、物事の本質的なキーワード。何か新しいことを始める場合は、自分の近くにいる人が喜んでもらえることを考えてやった方が、結果的に成果が出やすいということ。西川さんが主催し、地元滋賀県で毎年開催されるイナズマロックフェスは「音楽を通じて地元にお返しがしたい」という大義はあるものの、「何か地元に帰れる理由がないかな」、「自分ができることで家族や地元の友人が喜ぶことって何だろ」という自分に近い範囲での考えが発端となったようです。
地方出身の私としては、その気持ちは大変共感できます。また、ECや小売りのビジネスにおいても、目の前の自社のお客様のために改善をしていくことで確実な成果につながることを考えると、まさに本質的なメソッドと言えます。
Suprising Data:企業によるデータ活用に潜む罠と成功の鍵
データ活用のプロフェッショナルが、データ活用でのあるある、陥りがちな罠をベースに成功の鍵が紹介されたセッション。データ活用は、デジタルマーケティングだけでなくEC・オムニチャネルでも必須の領域です。その中で2つのキーワードがありました。
「(データ活用は)ボリュームがでるところやったとしても、段々と細かいところに陥るとインパクトが小さくなる」Kaizen Platform, Inc. 須藤 憲司さん
私もEC事業に携わる中で気をつけていることですが、データ活用の領域でも同じことがあるということです。「データを基にしてセグメントしよう」というのは、デジタルマーケティングでもECでもトレンドになっていますが、セグメントを細かくしていくとリーチできる対象人数は少なくなる、すなわち、成果のインパクトが小さくなるということです。「小さなセグメント×n」で成果をつくる方法はあるものの、その分手間も大きくなる。データ活用は大きな分類からはじめて、その後はセグメントによる成果とそれを検証するためにどれくらいのリソースが必要かの見極めが肝心ということです。
「そのDataによって、Actionの回数がふえますか?スピードがあがりますか?」Kaizen Platform, Inc. 須藤 憲司さん
グロースハック、ABテストのプロフェッショナルの須藤さんが、データ活用で最も大切にしていること。言い換えると、Action(施策)から逆算して活用できそうなデータを特定するということではないでしょうか。データ分析には終わりがなく、単なる自己満足になりやすかったり、データから導き出した結果が施策に反映できないものになったりすることはよくあるそうです。成果を出すためにデータを活用する。逆に言えば、施策の試行錯誤の回数やスピードが上がらないデータ活用には全く意味がないということです。
私もそういうデータ分析の行き止まりに当たったことは何度もあります。前職で「前年の2倍にしろ!」と言われたときに成果の追求に目覚め、とにかく早く結果を出すためには、出したい成果を逆算してそれに必要なシンプルなデータを抽出することが近道ということは実感しているので、とても共感できるキーワードです。
オムニチャネルの加速は消費者ニーズを開拓するのか
アパレル、ドラッグストア、メガネチェーン、スタートアップECと各業界の小売りに関わるメンバーが、それぞれのオムニチャネルの定義や特徴、そして成功への秘訣を議論したセッション。私も登壇させていただきました。年々その重要性を増すオムニチャネルですが、その中で2つのキーワードがありました。
「可処分時間をいかに獲得するか」株式会社ベイクルーズ 村田 昭彦さん
可処分時間とは自分が自由に使える時間のこと。スマートフォンの普及により、誰もがいつでも情報にアクセスできて、動画やゲームのようなリッチなコンテンツを携帯できるようになった昨今。企業側としては、自社のお客様が持つ時間の取り合いになってきているということです。特に嗜好性や趣味性が高い商材は顕著です。
「可処分時間の獲得」自体は新しい言葉ではありません。前職で、ファッションの敵はスマホゲームだと捉えていたものの、時間のところは抜け落ちていた視点でした。ショッピング体験自体もバーチャルで短時間でできるようになった今、単にWEBコンテンツという発想だけてなく、商品やブランド、ショッピングの一連の体験自体に「時間をさいてもらえるだけの価値があるか?」という視点が大切だと再認識できたキーワードです。
「今デジタルやEC担当が、全社の売上を変えられるインパクトを持っている」ネットイヤーグループ株式会社 佐々木 裕彦さん
ECやデジタルマーケティングで悩みを抱える企業の支援をされている佐々木さんらしい言葉です。これまで、ECやデジタルマーケティングの担当者はWEBだけで成果を出していればよかったけれども、オムニチャネルの時代になって成功事例やノウハウが、より売上が大きいリアル店舗にまで波及できる。ただし、会社に横串を通したり、経営者や関連部門を説得したりとハードルが多い分、尻込みしている担当者もいるとのこと。
ということで、このセッションの最後にパネラーからエールを送らせていただいたわけですが、佐々木さんがおっしゃる通りで、今ECやデジタルマーケティングの担当者は、全社にインパクトを出せるし、次の小売りやマーケティングの基準を作っていくようなチャンスを持っているのです。このチャンスを生かすも殺すも自分次第だったら、やるしかないと私は思います。そうすることで、自分のアイデアを具現化できるチャンスがより広がるわけですから。
今回は初日の3セッションについてご紹介させていただきました。他のセッションに関しては、次回ご紹介します。
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