EC成長に必要な3つの条件:WEB売上アップの決め手はEC部門の人材【連載2/4】
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最終更新日:2017/08/26
EC・ビジネスメソッド
急成長するEC事業には「共通する人材」がいる。
前回に引き続き、「EC事業の成長に必要な3つの条件」をご紹介します。
今回は1つ目の条件「実店舗、WEBマーケティング、EC、システムの特性を理解したEC部門の人材がいる」を解説いたします。
EC業界において、絶対的に不足しているのがこの人材です。
実店舗、WEBマーケティング、EC、システムの特性を理解したEC部門の人材がいる
「実店舗=小売」「WEB」「EC」「システム」という、それぞれ異なる4つの特性を実感的に捉えて考えられる人こそが、「実店舗ありきのEC」では求められています。特にWEBマーケティングとECは近いのでは?と思われるかもしれませんが、この4つはどういう特性があるかを「売り手の側面」で簡単にご説明します。
【実店舗=小売の特性】
■店舗自体も含め、販売するための商品陳列、在庫管理などは全て「目の前にある現物」である
■基本的に対面販売なので、ユーザーの反応をダイレクトに感じる
■セルフ販売でなければ接客を通して販売する為、スタッフのスキル・モチベーションが売上に影響する
■ファッションビル、百貨店(館:やかた)などに出店している場合、集客は館に依存し、入店はフロアを回遊するユーザーに依存する
■館側は、施設内の全てのユーザーを「館のお客様」と捉えているため、出店企業による独自の販促や顧客リスト獲得をコントロール(抑制)しようとする
【WEBマーケティングの特性】
■インプレッション、クリック、購入などユーザーのアクションが数字として残る
■広告(アドテク)やレコメンドなど、用途や目的によってありとあらゆる無数のサービスが存在する(選択肢が多い)
■集客手段に関しては、費用を増やせば簡単にコントロールできてしまう
【ECの特性(物販を想定)】
■集客・注文・発送・配達・カスタマーサポートなど、業務工程が非常に多く、それに関わる関係者が多い
■WEB上のサービスだが、あくまでも「物販」なので売上・利益を獲得できないと意味がない
■商品力やブランド力が、集客や売上に大きく影響する
■能動的な問合せや意見がもらえない限りは、ユーザーのインサイト(消費者心理)は把握しずらい
【システムの特性(ECを中心に想定)】
■業務フローの改善やデータの統合、外部WEBサービスの利用の度に、タグの設置や連携のための改修が必要
■ECカートシステムを中心として見ると、基幹システム、物流管理システム(WMS)、ポイントシステムなどの社内関連のシステムもあれば、メルマガやレコメンドなど外部サービスのシステムなど、登場するシステムの数が多い
■開発・改修は、工数の確認からそれに携わる人×時間で金額が決まる
■人のスキルによって時間、すなわち金額が変動する
ここまでカバーする必要があります。ただし、1人が全てをカバーするのは難しいため、複数のメンバーが得意な領域をおさえておくというのもありでしょう。ポイントは、4つの特性を横断的に捉えて、ECにおける戦略や施策を考えていくということです。
例えば、ありがちなパターンとしては、WEBの特性ばかりに囚われすぎて、「ECの売上アップはWEBマーケティング解決できる!」という考えに陥る場合があります。そもそも取り扱う商品の商品力やブランド力の方が、売上に対する影響力が強いので、商品を改善したり、ブランド自体のPRを強めることの方が近道であることが多いです。
他のパターンとしては、EC×WEBの特性ばかりに囚われすぎて、「ECの売上アップのために、WEB上で新規ユーザーを獲得する!」という考えに陥る場合もあります。もし、実店舗があるのであれば、実店舗で買い逃したユーザーにECを利用してもらうほうが圧倒的に集客効率が良いです。
次回は、2つ目の条件「EC事業の可能性と強みを理解している経営者がいる」をご紹介します。
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