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バーバリーLINE活用3つの見どころ:2015年秋冬コレクション生中継のすごさ【連載4/4】

公開日: : 最終更新日:2017/08/26 LINE公式アカウント・スタンプ


バーバリーコレクション01

驚異の視聴率40%超え!バーバリーコレクション生中継

前回に引き続き、「バーバリーによるLINE活用3つの見どころ」をご紹介します。

今回は完結編として、3つ目の見どころ『リアルタイム動画配信機能「LINE LIVE CAST」によるコレクション生中継とはどんなものか』を考察いたします。

昨夜のバーバリー×LINEによる2015秋冬コレクション生中継は大成功と言えそうです。コレクションの解説はメディアに任せ、WEBの観点でこの生中継を紐解いていきましょう。

 

リアルタイム動画配信機能「LINE LIVE CAST(ラインライブキャスト)」によるコレクション生中継とはどんなものか

コレクションファーストルック

2月23日(月)日本時間22時から約24分にわたり、バーバリーの2015年秋冬コレクションがLINE公式アカウントのトーク上で生中継されました。今回初お披露目となるLINEの新機能「LINE LIVE CAST(ラインライブキャスト)」を活用によって実現した「リアルタイムにスマホの鮮明な画質で見るコレクション」は、日本で新たな歩みを始めるバーバリーの大きな後押しとなったと思います。

では、具体的に以下の4つの切り口で今回の取組みを見ていきます。

■今回の取組みの何がすごいのか?

■LINE LIVE CAST(ラインライブキャスト)とは正体は?

■視聴者数、視聴率を比較してみる

 

今回の取組みの何がすごいのか?

バーバリー×LINE

コレクションのWEB上での生中継事例はこれまでもあります。ただし、広大なWEB・インターネットの世界では、生中継のようなイベントをやっても告知は自社のPRに依存してしまします。ECと似ていますが、WEBプロモーションにおいても、デバイス×チャネル(メディア)が重要になっています。チャネルには人が紐づいているからです。

その観点で、日本最大のコミュニケーションツールとなったLINE上で、なおかつ新機能の活用、しかもラグジュアリーブランドが活用しきれていないLINE公式アカウント上での配信となれば、PRネタとしても新鮮です。

LINE森川社長

現社長である森川社長や、上級執行役員 田端氏もロンドン ケンジントン・ガーデンの現地に行かれるほど、LINEとしても大きな取組ということを物語っています。

LINE LIVE CAST(ラインライブキャスト)とは正体は?

LINE

そもそも、今回初お披露目になったLINEの新機能「LINE LIVE CAST(ラインライブキャスト)」とはどんなものなのでしょうか?まだ公開はされていないので、あくまでも予測ですが、「LINE ON-AIR(オンエア)機能のグレードアップ版」というイメージだと考えています。

「ON-AIR機能」は、LINE公式アカウントが、一定期間、ラジオの“オンエア”のような状態になり、ファンの皆さんからの意見・質問・メッセージを受信することができるような機能です。

<抜粋>LINEに「きゃりーぱみゅぱみゅ」「木下優樹菜」など3組の公式アカウントが登場! | LINE公式ブログ

ON-AIR機能は上記の通り、限定的にユーザーからメッセージを受けることができる状態です。実際に、生中継直前の配信では、「ON AIR」状態の記載があります。

LINE配信1st

技術的な詳細まではわかりませんが、ON-AIR状態にして、公式アカウントが側から「生中継の動画」を配信しているのではと捉えています。画質に関しては、生中継にも関わらず乱れることがなく非常に鮮明だったということも特出していることです。田端氏のTwitterでもその言及がありました。

テレビにうつしたらDVDくらいの画質でみれてるそうです。なかなかの高画質!!!

<抜粋>田端 信太郎Twitter

また画質だけでなく、配信のシステムリソースもLINEとしてのプラットフォームの強みが出でました。私は移動しながらwi-fi経由で観ていたのですが、リロード(読み込み)状態にはなりませんでした。ただし、私の友人に聞いたところ、ドコモの4G環境で一切見れなかったという話も聞いています。ちなみに、公式サイトの生中継も見れなかったようです。

実際の配信状況の実態は確認が必要かもしれませんが、いずれにしろ、もし企業単体で、9万人もの同時アクセスに耐えうるサーバーや回線環境を1日のために整えだけでも、準備やコスト面で一苦労ですし映像が読み込まないリスクもでてきます。

リッチな情報を膨大に取り扱うLINEならではのパフォーマンスと言えるでしょう。

 

視聴者数、視聴率を比較してみる

生中継終了

視聴者数や視聴率を比較して、この生中継の規模を把握してみます。

生中継の動画が出始めたのが21時47分ごろで、22時の開始直前の時点で視聴者数は6万人を超えていました。すでに東京ドームの収容人数を超えています

また、今の時期に放映されている同時間帯のドラマの視聴率、LINE上での生中継イベントの視聴者数と比較してみます。

【視聴率比較】

日本テレビ系 水曜22:00放送「○○妻」:平均視聴率14.45%

※2015年2月19日(木)放送分までの集計・平均 <抜粋>ドラマ視聴率 早わかり情報局

【視聴者数比較】

2014年8月15日 西内まりあ LINE ON AIRイベント:視聴者数20万人超え(当時の最高数)

<抜粋>ON AIRイベントの視聴者数が20万人を突破!西内まりやさんに独占インタビュー! | LINE公式ブログ

これらに対し、バーバリーの生中継は、終了時点で9万人を超える視聴があり、LINE公式アカウントの友だちを母数とした視聴率は約32%!また、終了後も視聴人数は増え続け、23:53時点で12万6,500人ほどになり視聴率は約45%!!!

視聴率に関しては、同時間帯で今のクールで2番目の視聴率である「○○妻」をはるかにしのぎ、紅白歌合戦並みの視聴率です。

視聴者数は西内まりあのON AIRイベントには負けるものの、幅広いターゲットのタレントとファッション好きでもモードという狭いセグメントのバーバリーを比較すると、今回の人数は驚異の数字だと捉えてよいでしょう。

 

事前告知から生中継までLINEで完結していた

LINE配信

今回、生中継までに合計6回のプッシュ配信がありました。以下に配信日を記載します。

2月4日(水)

2月17日(火)※スタンプ配信

2月18日(水)

2月21日(土)

2月23日(月)×2回

また以下は、生中継に関する記載を一部抜粋しました。

2月23日にロンドンで開催されるバーバリー2015年秋冬のショーにコニー&ブラウンの参加が決定(2015年2月4日配信)

最新コレクションの模様は2月23日(月)22:00よりロンドンのケンジントンガーデンから生中継します!(2015年2月18日配信)

コレクションの全貌はLINE上で生中継されます。ショーの開始は2月23日(月)日本時間午後10時。ロンドンのケンジントンガーデンよりライブでお届けします(2015年2月21日配信)

<抜粋:バーバリーLINE公式アカウント>

20日間で6回の配信は、これまでのLINE公式アカウントで最多の配信頻度と言えるでしょう。しかしながら、この6回の配信で「2月23日(月)日本時間22時」「2015秋冬コレクション生中継」という情報をユーザーに刷り込んだことにより、視聴率40%超え、12万人以上の視聴者数という驚異の成果を出せたのだと考えています。

 

実は、LINE配信の裏番組が展開されていた

 

Burberry_Twitter

<抜粋>Burberry Japan公式Twitter

 

 

Burberry_facebook

<抜粋>Burberry公式Facebookページ

生中継はTwitter、Facebookでも告知され、公式サイトで生中継が配信されていました。 今回の生中継は「LINE限定配信」ではなく、新たな配信方法としてLINEを追加したということでしょう。ここにも、バーバリーのデジタル戦略の強さを感じます。それは、ユーザーに即したメディアでのコミュニケーションをとっているからです。

日本国内でよくある話を例にして解説します。

国内ではファッション業界に限らず、あらゆるビジネスにおいて「どのようにソーシャルメディアを活用すべきか」という課題は避けて通れなくなっています。※SNSはソーシャルメディアに含まれます

「SNSをブランドのプロモーションに活用したい」と表面的に言っている国内のアパレルブランドや企業ほど、今回のような取り組みに「限定感」をもたせて、特定のメディアに誘導させようとします。

これは大きな落とし穴で、思ったほどユーザーが集まらず、取り組み自体が失敗するケースがほとんどです。

その大きな要因は、ユーザーごとに利用するSNSが異なることです。利用していないSNSで登録したり、そこで情報を見るというのは、企業側の想像以上にハードルが高いようです。この点、バーバリーは抜かりありません。LINEはSNSではなく、コミュニケーションツールなので、今後のプロモーションにおいてはマストになっていくはずです。

また「限定感」で集めるには、別の媒体などを活用した「広い露出」が必要です。誰も知らない限定は、限定ではないのです。この点においても、バーバリーはLINEスタンプや、今回の取り組みのパブリシティを活用してますし、おそらくメルマガなど自社メディアも活用していると思われます。

 

まとめ:参考にすべき戦略と取り組み

私も今回のバーバリー×LINEの取り組みを考察することで、バーバリーのデジタル戦略の強さを知ることができました。ファッション業界だけでなく、あらゆるビジネスにおいて今回の取り組みやその戦略を参考にしてみてください。

LINEで配信された2015秋冬コレクションの映像はバーバリー公式サイトでも配信されていますので、ぜひ見てみてください。

<参考>2015年秋冬バーバリー・プローサム・ウィメンズウェアショー | バーバリー公式サイト

 

▼連載の他の記事はコチラ▼

バーバリーLINE活用3つの見どころ:LINEとの新たな取り組み【連載1/4】

バーバリーLINE活用3つの見どころ:LINE展開の戦略【連載2/4】

バーバリーLINE活用3つの見どころ:生中継に向けたLINEスタンプ無料配信【連載3/4】

 

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川添 隆

川添 隆

デジタル・コマースグループGM | デジタルエクスペリエンス事業本部 本部長メガネスーパー | ビジョナリーホールディングス
NewsPicksプロピッカー、デジタルハリウッドオンライン講師、文化服装学院 非常勤講師、日経デジタルマーケティング連載、ECzine連載、LINE大使(自称) ||| EC事業、オムニチャネル推進、デジタルマーケティング・コミュニケーション、デジタルを活用した店舗支援を統括し、他社のEC・オムニチャネルのコンサルティングにも従事。これまではファッション・アパレルに従事し、現職含め3社のEC事業売上を短期間で2~4倍にしてきました。 ≫ プロフィール詳細・お問い合わせはコチラ

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