アドテック東京2016オムニチャネル編(後編)業界の先駆者たちが語る、今後のオムニチャネルとは?
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最終更新日:2017/08/26
オムニチャネル
オムニチャネルのセッションの後編。今後のオムニチャネルについて語られました。
テーマは「オムニチャネルの未来:増大する顧客接点を価値体験へシフトさせる」。前編では、「各々のオムニチャネルに対する見解」「オムニチャネルとは何か?What is Omni-Channel ?」について語られ、「顧客体験」「ユーザー・エクスペリエンスの前にエンプロイ・エクスペリエンス」「デジタル三河屋」といった注目キーワードがでてきました。
では、セッション後半をレポートします。
今後のオムニチャネルとは?Future of Omni-Channel ?
■今後のオムニチャネル設計
(奥谷):経営との関わりも重要な要素。まあ、「デザイン」の重要度が増していて、それは業務の改善につながったりもする。
(柳田):経営の中に「デザイン思考(プロダクトだけでなく、サービスやオペレーションなどあらゆることが対象)」をいれていく必要がある。我々の場合は、経営者のミーティングに、クリエイターを同席させたりして、直接コミュニケーションをとるようにしている。
(奥谷):一時期、プロダクトデザインが時代の潮流になり、デジタル化が進んだことで一旦落ち着いた。今、IoT分野ができたことによって、ハードを含めたデザインという領域が復活している。
■事業会社としてオムニチャネルやデザインをどう考える?
(藤原):進めていくには1人のリーダーシップが大事。なおかつ、鈍感力と強い意志が必要。必ず、誰からディスられることはある。それでも気にしない人が向いている。
■自分の消費者的感覚を形にして伝える
(奥谷):経営に対してはわかりやすく伝えることが大事。
(郡司):わかりやすい資料を提示して初めて意見を言ってくれる。わかりにくい内容だと、わかったふりをしてスルー(あたたかい無視)される。
(奥谷):翻訳することって大事。電通デジタルでは、そういった部分はどうしているか?
(五島):我々は、お客様の気持ちがわかりやすいデザインや、共通認識ができるツールを用意するようにしている。
(奥谷):中から盛り上げていくことと、外からサポートしてもらうことのバランスが重要。
■電通デジタルとアクセンチュアは競合のようでサポート役として違いがあるのでは?
(柳田):我々も広告も取り扱っているので競合する部分はある。アクセンチュアの広告取扱金額は世界有数のポジションになっている。ただし、得意領域は、企業のビジネスモデルのイノベーションをやること、そのサポートすること。
(五島):我々は、生活者にしっかりと寄り添って、そのデータを集めに行くアプローチが多い。
■オムニチャネルの設計をしていくには?
(奥谷):私は無印良品時代、お店にいたほうが長いので、会社としてのビジネスモデルの理解ができた。だから、その後のオムニチャネルの設計ができたと思う。オムニチャネルは「会社のビジネスモデルの理解」と「デジタルのテクニカルな部分の理解」の両方が必要。その上で、社外のチカラも必要になってくる。
(藤原):自分たちだけで考えるのは危険。我々も友人やお客様を巻き込んで意見を聞くことがある。
(奥谷):課題を早めに見つけて、早めに掘る。設計をしていくには、色んなステークホルダーが集まって、ガツッとやるのがよい。
■店頭が「お母さんは忙しくなるばかり」になっていないか?
(奥谷):「お母さんは忙しくなるばかり―家事労働とテクノロジーの社会史」この本はぜひ読んで欲しい。家事家電が登場して、家事がラクになったはずのお母さんはラクにならなかった。モノが増えてやることは増える一方。同じように、「店頭は忙しくなるばかり」にしてはダメ。オフラインでの負荷が軽くなる、売上がとれる、そのようにオムニチャネルを設計していかなければならない。
冒頭にも言ったが、このセッションで話された内容は、私を含めて、今後のオムニチャネルを設計しく上での指針になる。大切なのは本質を理解して、自社で実行すること。この貴重なセッションを、あらゆる企業で少しずつでも実行されることを願っています。
▼オムニチャネルセッション前編はコチラ
アドテック東京2016オムニチャネル編(前編)キーワードは顧客体験、エンプロイ・エクスペリエンス、デジタル三河屋!?
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川添 隆

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