EC担当目線のASPとオープンソースの比較:ECカートシステムの選び方【2】
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最終更新日:2017/08/26
ECノウハウ・実例
ASPやオープンソースってよく聞くけど・・・
前回は、自社の企業がどんな意向で、どこを目指しているかによってECシステムの選び方が変わることをお話ししました。今回は、ASPからオープンソースまでのメリット・デメリットをEC担当者目線で比較いたします。
ASP、オープンソースの比較
各ECシステムのメリット・デメリット
この比較はこれまで私が見聞きしたことや、実際に経験したことを基にして作成をした主観的な比較です。ただし、ある程度のEC経験者である私が、相対的にそれぞれのECシステムに対してどのように捉えているかということをまとめたものですので参考にしていただければと思います。
ASP
ASPを選択するならこんな企業がオススメです。
・ECサイトの規模としては、月商 十数万円~数百万円を想定
・構築費用・月額費用を安くおさえたい(数十万~数百万円)
・サイト構築期間を短縮したい
メリットとデメリットは以下です。
■メリット
・ECで販売するための機能が標準またはオプションとして充実(セット販売や定期購入など販売に必要な機能)
・不具合が少なく、セキュリティが担保されているので安定性が高い
■デメリット
・カスタマイズ・外部システムとの連携をすると開発費用が高額
・サイト内の更新範囲やタグの設置範囲が限られる(特に買い物カゴ~注文完了ページ)
・サイト分析・商品別売上分析、ダウンロードできるデータが網羅されていない
・運用のためのサポートが不十分
・集中的なアクセスに対するパフォーマンスが不安定
ASPの代表例としては、月額を抑えて始めるならカラミーショップ、圧倒的な機能数で定評のあるMakeShop(メイクショップ)、Amazonログイン&ペイメントを実装しアパレルの導入が多いFutureShop2(フューチャーショップ)などがあり、多くのサービスがあります。ASPの比較は下記の記事にまとめてあるので参考にしてみてください。
<参考>【完全保存版】ショッピングカートASP徹底比較2016 | スイッチ
ちなみに、私自身は、MakeShop(メイクショップ)とマルチドメインカート(現在CARTSTAR)をカスタマイズしたものを使用したことがあります。同じように見えるASPとはいえ、商品登録の工程など細かいところに違いがあるので、事前に吟味をしましょう。また、ASPはカスタマイズを加えると、その後の機能追加の恩恵を得れないことが多いので、ASPを選定する場合は、カスタマイズなしを前提とすることをオススメします。
オープンソース
オープンソースを選択するならこんな企業がオススメです。
・ECサイトの規模としては、年商 百万単位~億単位を想定
・ASPを卒業したい、または、外部システムとの連携をしたいがパッケージECシステムよりも構築費用をおさえたい(数百万円~1,000万円前後)
・開発を特定のベンダーに依存したくない、将来的に社内での開発・システム運用を視野にいれている
メリットとデメリットは以下です。
■メリット
・月額費用が安い
・開発ベンダーが多い(選択肢が多い)
・バージョンアップによる機能追加が多い
■デメリット
・構築やオープン後の改修は安いと思われがちだが割と高い
・標準では、サイト分析・商品別売上分析の項目や、ダウンロードできるデータが網羅されていない
・セキュリティは保証がないため対策が必要
・集中的なアクセスなどに対するパフォーマンスが不安定
オープンソースの代表例としては、日本をECの礎を築いたEC-CUBE、海外で人気のMagento(マジェント)などがあります。私自身、実際に私用した経験はなく、オープンソースにリプレイスしようとしていたプロジェクトを中止した経験はあります(笑)。その時のことや、詳しい方に聞いた情報で総合的にポイントをまとめてみます。
オープンソースは自由に開発ができますし、新たなプラグインがどんどん開発されるので、それを活用すればコストもおさえられるようです。ただし、開発するベンダーによってそれが大きく左右されるようです。世の中には「EC-CUBEを使ったEC構築できます!」という制作会社もいますが、事例の数などで力量を見極めないと、後々大変なことになります。また、オープンソースということは、セキュリティの穴をつかれることも不可能ではないということなので、継続的なセキュリティ対策が必要です。オープンソースの場合は、くれぐれも慎重なベンダー選びを。
次回は、中規模のECサイトで継続的に事業拡大をねらったり、実績数でシステム選定を判断する上で選択肢となるパッケージシステムをご紹介します。
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川添 隆

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