ウェブ接客の本質はPARCOにあり:WEB接客とは【3】
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最終更新日:2017/08/26
ECノウハウ・実例
「WEB接客」とは何なのか?
前回は、WEB接客ツールやその関連サービスであるFlipdesk、KARTE、Zen Clerk、Ve Interactiveを導入するにあたっての4つのポイントと、こんな企業にオススメというポイントを解説しました。それでも、結局、こういうトレンドに乗っかったほうが良いのか迷う方もいるでしょう。そういった方々のためにも、今回はECサイトにおけるWEB接客の本質について解説します。
トレンドに踊らされない!WEB接客の本質とは?
「WEB接客」はEC業界では、1つのトレンドになっています。来訪ユーザーのニーズに合わせ、できればOne to Oneで情報や商品を届けることでより購入につなけだたいというEC事業者のニーズが高まっているからです。このような新たなECのトレンドが登場すると、「うちのサイトでも、新たにツールを導入して、WEB接客で売上伸ばすぞ」という話になります。しかし、そういったサービス・テクノロジー活用は枝葉の部分でしかないです。
では、WEB接客とはどういうことなのか?
それは、いかにユーザーが求めていることに対して、サイト内外で情報や商品を提示したり、サービスとして表現することが本質だと考えています。例えば、再入荷リクエストに応えて、在庫をフォローするのも立派なWEB接客ではないでしょうか。それができていない中で、新たにツールを導入しても大きな変化は起きないでしょう。
ECサイトにおいて、ユーザーは「買うこと」が目的であり、実店舗以上にユーザー側に主導権があります。サイトを去ろうとしているユーザーを引き留めるのは難しですよね?さらに、ECサイト上でユーザーが双方向のコミュニケーションを必ずしも求めるわけではないと私は捉えています。実際に、チャット機能をONにしたからと言って、チャットでメッセージがくるわけではありません。
EC事業者として、トレンドに踊らされず、商品やユーザーに向き合うことで、自ずとどういうWEB接客が必要かが見えてくるはずです。
WEB接客の本質的な取り組みはPARCO(パルコ)にあり
株式会社パルコ公式サイト
ECからちょっと話を変えて、「店頭におけるWEB接客」について触れてみたいと思います。
PARCO(パルコ)はと言えば、ファッションビル、デベロッパー側の立場として、国内で最も先進的かつ地に足がついた取り組みをされている企業です。そのPARCOが2015年9月1日より、ショップで働くスタッフの接客力向上をサポートするショップスタッフ応援ポータルサイト「SUTEKI LABO(ステキラボ)」がスタートしました。
<参考>オムニチャネル接客向上へ、PARCOがショップ応援サイト開設 | ASCII.jp
<参考>SUTEKI LABO(ステキラボ)開設プレスリリース | PARCO公式サイト
先日、パルコさんに直接お話をお聞きする機会があったのですが、このSUTEKI LABOをはじめ、パルコさんのWEB接客の捉え方は納得しましたし、取り組みのレベルが非常に高いと感動しました。その一部を紹介します。
渋谷PARCOショップブログ
現在、PARCOに出店しているブランドは、PARCOが提供するショップブログのプラットホームを利用でき、ブログ活用の研修も受けられるようです。これまでの各ショップ・スタッフのブログでの取り組みと、お客様の来店後の反応などを見て行くと、うまくブログを活用しているショップでは、接客が「来店前」から始まっているというのです。すなわち、お客様はブログを通じて新作商品やコーディネートの情報を知り、吟味し、気に入った商品はクリップする。その情報を起点として、店舗へ来店しお目当ての商品を手に取り、ブログの情報の延長で店頭スタッフとコミュニケーションをとって購入する。そのショップのファンになれば、そのループが生まれたり、店舗に行かなくてもカエルパルコの機能でブログ経由で購入する。この一連の流れは、ショップ側としてもユーザー側としても理想的な流れです。
これを聞いて、「これまでのブログやメルマガのマーケティングと同じじゃないの?」を思われるかもしれません。確かに手法自体は変わりませんが、この一連の取組みから学ぶポイントが2つあると考えています。
1.ブログが単なる集客手段ではなく、パーソナルな接客の延長である。そのために、自店の顧客イメージを鮮明にしてブログを運営している。
2.今、ECのトレンドとしてフォーカスされているのはサイト内、すなわち店舗での接客。流入経路が特定できるECだからこそ、来訪前の接客は大事なのでは?
KARTE
再度、ECの話に戻します。別に、接客という手法は今に始まったことではありません。技術の発展により、流入経路別や閲覧ページ、または会員の属性などによって情報を表示ができるようになり、FlipdeskやKARTEというサービスが登場したのが今です。それでも、店頭接客のようにインタラクティブに接客できるわけではなく、できることは指定した条件のユーザーに対して設定した情報を表示するというのが基本です。それを「接客」に変えるのは、顧客イメージを鮮明にして情報を選定し、クリエイティブをつくるということだと考えています。
ECとはいえ、今一度、自店の顧客の顔を想像してみてください。想像できるのであれば、Flipdesk、KARTE、Zen Clerk、Ve Interactiveを十分活用できるでしょう。
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川添 隆

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